守れ!!奇跡の聖杯(グラス)/前編
エロフ基地東邦支部内……
「最近わりかし暇だなぁ」
第1オペレーターである反町は、でかかった欠伸を噛み殺した。
一時各国で萌えパワーゲージが低下し、その存続が危ぶまれた程だったが、今現在ほとんどの国の萌えパワーのゲージは80〜90%強を保っている。消滅寸前までいったブラックマーレ国など、先日のホワイトとピンクの生写真騒ぎで、萌えパワーゲージが120%越えを記録した。
(このまま何もないといいんだけどねー)
こっそりと裏から入手した例の生写真(ちなみにホワイトの顔のところは自分の顔にアイコラ済み)を眺めながら反町がそう思った時だった。
チカチカと信号灯が点滅する。あれっと思った瞬間、けたたましく警報が鳴り響いた。
『グレード・ グレード・ グラスノー国に健全思考が発生。直ちに原因を究明してください。このまま放置された場合12時間後には萌えパワーゲージ低下率42%を予想されます。ただちに原因を究明して下さい』
萌えパワーゲージ管理コンピューターから警告が流れる。反町は後ろにいるグウェンダル長官を振り返った。
「グウェンダル長官! コンピューター予測によると、12時間後萌えパワー42%ダウンとなります!」
「原因は分かったのか? 詳細を報告せよ!」
「はい、グラスノー国に健全思考が発生したと思われます。場所は……」
反町は第2オペレーターであるタケシと共に、原因の源である健全思考が、どの辺りにいるのかを詳しく分析した。
「でました! グラスノー国、への四番ガラス工房内です!」
「なにぃっ! への四番ガラス工房といえば、腐女子の必須アイテム、聞耳グラスの生産工場ではないかっ! まずい! まずいぞ! あれがなければ、どうやってお隣の情事をこっそりと聞けばいいのだっ! こうしてはおれん! はくレンジャーを出動させるぞ! 総員配置につけっ!」
「了解!」
反町は言うと同時に、キーボードを叩いた。途端に基地内に緊急アラームが流れる。
『総員第1主戦闘配置』
『主電源接続』
『全回路動力伝達』
『第2次コンタクト開始』
『A10神経接続異常なし!』
『双方向回線開きます』
『ハーモニクラス全て正常』
「はくレンジャー出動!」
出動命令を受けて、基地内に待機していた4人は立ち上がった。
「グラスノー国か。ここからだと湖を渡らなきゃいけねぇな」
一応リーダーであるホワイトは、地図を広げながら言った。本当はそんな事をしなくても、端末に打ち込めば最前の道を算出してくれるのを、他の3人は知っているのだか、あえて誰も何も言わない。
「そうするともしかして…… パンマン号に乗らなきゃいけない訳……?」
どこか不安そうにブラックがつぶやく。その顔が心なしか青ざめているのは、気のせいだろうか。
「どうしたんですかブラック。あなたの事は俺が守りますから、安心して乗っていいんですよ」
自分の様子を完全に勘違いしているブルーにそれを否定する気力もなく、ブラックはこっそりと溜め息をついた。
「パンマン号か♪ そういや出動で乗った事なかったな……おっし! 今日はそれで行こうぜっ!」
喜々としてホワイトが言う。その言葉に更に青くなったブラックが伺い見ると、ピンクも片頬が引き攣っている。ホワイトにベタ惚れのピンクでも、あのパンマン号は何か思うところがあるらしい。
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