持つべきものは……

それは、コンラートが優雅に午後のティータイムをユーリと楽しんでいた時だった。

「ユーリ、このお菓子も甘さ控えめでなかなかおいしいですよvvv」
「ホント?どれどれ??あ、ホントだ、すげーうま〜い!」
「良かったら俺の分もどうぞv」
「え、いいの!?やったー!!」
「フフフ。お茶をもう一杯いかがですか、ユーリvvv」

などと幸せ満喫中のコンラート。
彼の頭の中は今、バラ色に輝く花園に塗り潰されてまくっていた。その世界に住んでいるのはユーリと自分、ただ2人だけ……。
そんな牙の抜けた獅子の元を、その親友であり、やはり(作者から)『牙の抜けた虎』呼ばわりされている日向小次郎が意外な訪問を果たした。

地平線の彼方に小さく黒い影が現れたと思ったら、その2秒後にはもう最接近していたその影=日向が、コンラートの左脇に右腕を差し入れ、何をする隙も与えず「渋谷ぁぁぁ〜〜〜コイツちょっと借りてくからなぁぁぁ〜〜〜」という叫びと共にそのままの勢いで一直線に連れ去っていく。
コンラートが最後に見たものは、残りのお菓子が全部自分のものと知って喜びに目をキラキラさせながら手を振る満足気なユーリの姿だった。






「やったー!コンラッドゲットだぜ☆」


やっと足を止めた日向が、そのままコンラートをモンスターボールに収納しそうな勢いで右手を天高く上げながら宣言する。


「ヒューガ!?お前はいきなり何をするんだ!!いやそれより俺とユーリのせっかくのティータイムがーーー!!」

「つべこべ言わずに黙ってここへハンコを押せーーーーー!!」

「ハンコ?俺はアメリカ帰りだからサイン派だ、印鑑は持っていないぞ?いや……数年前に名古屋の友人が作ってくれたものがあったか!コチラ
探してみるが、一体なんのために俺の印鑑なんか……ッッ!?」


コンラッドが日向に渡された紙。そこにはこんな文章が記されていた。




『       誓 約 書

私ことウェラー卿コンラート(以下甲)は、日向小次郎(以下乙)に対し、
無利子で壱万円以上貸して差し上げることをここにお約束いたします。

                          ウェラー卿コンラート  印 』


「なッ……なんじゃこりゃあーーー!?」

「助けてコンラッド!お前だけが頼り(レ/イ/ア姫風で)!!
俺、金が足りなくて携帯電話が買えないんだよ!!だけど……だけど俺、どうしても若島津とアドレス交換してみたい……!
若島津と携帯でおしゃべりもしてみたいんだ………!!
頼む!!親友の誼で、どうか俺に一万以上貸してくれーーー!!!」


(何と言うことだ……)

コンラートは思った。(あのプライドの高い虎が、若島津との愛のために90度最敬礼で俺に頭を下げるとは……。)
横から写メを撮りたい気持ちと戦いながら、コンラートは沈痛な面持ちを浮かべた。


「ヒューガ……俺はな、この地球に来た時に、ある1つの誓いを立てた…。
他の者にとってはくだらない事なのかもしれない。だが、俺にとっては大切な……本当に大切な誓いなんだ。
この誓いは、たとえどんなことが起ころうとも、俺は決して破りはしない…!」

「な…何だその誓いってーのは!それが俺の借金の申し込みとなんか関係あるってのか!?一体どんな誓いを立てたってんだよ!?」

「それは………『俺の金はビタ1文ユーリ以外の人間には使わない使わせない持ち込ませない』」

「なッ……なにィ!?」

「そんなわけでヒューガ、悪いが1円たりとお前に金は貸せん!それにな、これはお前と俺の為でもある。」

「そッ……それはどういう意味だコンラッド!?」

「よくいうだろう、金の切れ目が縁の切れ目だと。よく考えてみろ。(ここからは音声サラウンドでお伝えしております)

・俺がここでお前に金を貸す
    ↓
・当然お前は金を返せない     「ちょッ!ま…!俺が金を返せないって既に決定ーーー!?」
    ↓
・俺は一生お前を許せない     「い……一生−−−!?」
    ↓
・俺はお前をボコボコにして絶縁   「ボ……!!ぜ……!!」

………もうわかっただろう…、俺はお前に金を貸せば、貸した金と共に得がたい親友までをも失うことになるんだ……。
俺はお前という友も 金 も 失いたくはないんだ、頼む、わかってくれ、ヒューガ!!!」

「………All or nothing ってヤツか(←たぶん違う)……。なるほどな、それならその選択は当然ってことなんだろうな……。」

「!…わかってくれたのか……!!」

「ああ、俺が若島津を想うように、一方通行とはいえお前も渋谷を想っている…。
そのお前の気持ちは痛いほどわかるぜコンラッド!
それに……俺だってお前という親友を失うのはゴメンだからな!」


そう言って日向は親友に背を向ける。
その、急勾配に肩の落ちた背中にコンラートは声をかけた。


「まあ待てヒューガ。金は貸さないが、お前の力にはなれると思うぞ?」

「な……なにィ!?それは本当かコンラッド!?」

「ああ。携帯なら俺は新機種が出るたびに買い換えているからな。もう使ってない前の機種ならたくさん持っている。
そのうちの1つをお前にやろう……もちろん充電器つきでな。」


ニッ、と笑って見せるコンラッドの顔が、日向には涙で霞んで見えた。


「コンラッドォォォォォ!!!」
「ヒューガァァァァァ!!!」


ガシィ!!と効果音が見えるほどお互いを力強く抱き合い、2人は絆を確かめ合う(愛はありません)。




こうして日向はオフライン専用携帯を手に入れた………!!



2009.6.11UP


第4作目があったはずですが、忘れたので思い出したら続きを書きます。てへv
とりあえず、めでたし♪めでたし♪

私も聞いていたが忘れた(よくあるv)