風邪ひきで10のお題 「Medicine」 もんぷち様 1.声変わり 手元で変化したシュートが、右手をすり抜けていく。 ボールの弾道がハッキリと目に焼きつく、キーパーにとっては永遠とも思われるよう な一瞬。 耳をつんざくようなホイッスル──は、いつの間にか携帯の鳴る音に変わっていた。 「…夢か…」 聞き慣れた筈のコール音が、起き抜けの頭にはやけに耳障りに響く。 重い腕を上げてベッドサイドの携帯を取り上げると、着信表示も確かめないまま返事 をした。 「…もしもし…?」 「──ひでえ声だな」 「…ごめん…」 しまった、と思ったが後の祭りだった。 相手が誰か判っていたら、こんな状態で電話に出なかった。 遠くイタリアで暮らす彼には、余計な心配を掛けたくなかったのに。 「風邪か?」 「うん、ちょっとね」 「ちょっとじゃねえだろ。それとも今更声変わりか」 「まさか」 受話器の向こうから聞こえてくる彼の深い声に、体にのしかかるようなだるさがす うっと和らいでいくのを感じた。 俺って細胞レベルで日向さんのことが好きなんだな、と考えるとちょっとおかしい。 「どうした?」 「…あんたの声聞いただけで、何だか元気になった」 「また、お前はいつもそうやって──」 日向さんはちょっと溜め息を吐いたけど、嘘じゃないんだよ。 「とにかく、ちゃんと寝てろよ」 「だから大丈夫だって」 「お前の『大丈夫』は毎回アテになんねえからな」 「本当に」 何度も念を押して、日向さんは電話を切った。 喉は相変わらず痛くて、頭もガンガンするけど、不思議なことに5分前よりずっと気 分が良くなっていた。 彼を想うだけで元気が出る、「日向さんマジック」だな。 起きたついでに何か食べようかと思ったが、食欲は全然ない。 市販薬の解熱剤だけを飲んで、もう一度横になった。 日向さんは何の用事だったんだろう…。 いつもの「寝る前に声が聞きたくなった」ってヤツかな、なんて考えながら、俺は再 び眠りに落ちていく。 今度は、いい夢が見られそうだった。 2. 冷たい手のひら 昨日のナイトゲームは後半開始直後から土砂降りになって、ずぶ濡れのままプレイし たのが悪かったのかもしれない。 シャワー室では勿論、帰宅してすぐに熱い風呂に入ったけど、どうやらちょっとばか り風邪を引き込んだらしかった。 このまま夕方まで様子を見て、それでも熱が下がらなかったら、医者に行った方がい いかもしれない。 でも、さっき寝る間際に日向さんの声が聞けたからだろうか。 体調とは裏腹に、うつらうつら見る昔の夢は決して悪くなかった。 あれは高1の頃だっただろうか──夏風邪を引いて、寮で寝込んだことがあった。 『…大丈夫か?』 放課後の練習が終わり、帰ってきた日向さんは俺を覗き込んだ。 ぶっきらぼうだけど、本当は凄く心配してくれているのが声の調子で判る。 その声を聞いただけで、具合の悪さや1日中一人で寝ていた心細さが和らいだ。 『…ごめんなさい、練習出られなくて…』 『バカ。何言ってんだよ』 怒ったように言いながら、日向さんの手のひらが俺の額に触れてきた。 いつもは日向さんの方が体温は高いのに、今日はひんやりと冷たく感じる。 『…気持ちいい…』 『今タオル絞ってきてやるからな』 『…日向さん』 『ああ』 『ちょっとだけここにいてくれる…?』 「………」 ブランケットをはぐられる気配に、意識がぼんやりと浮上する。 体にまとわりつく重くて不快な熱気が、ふっと軽くなったような気がした。 「…大丈夫か?」 ぶっきらぼうだけど、心配そうな声がすぐそばで聞こえる。 「…ごめんなさい、練習出られなくて…」 「何言ってんだ、お前」 冷たい手のひらが汗で額に貼り付いた髪をかき上げるのを感じて、ぼんやりと目を開 けた。 俺を覗き込んでいる、色素の薄い瞳── 「今タオル絞ってきてやるからな」 「………」 あれ…もしかして夢じゃない? 3. 口移し 「…何であんた、ここにいるの…?」 熱のせいで幻覚でも見ているのかな。 「昨日、急な仕事で大阪に来た」 「…え…」 「そっちは夕べのうちに片付いたから、どっかで会えねえかと思って、朝一で電話し たんだ」 思い返してみて、さっきの電話には国際電話のタイムラグがなかったことに今頃気付 いた。 ダメだ、全然頭が働いてないらしい。 「…じゃあ、あれ大阪から…?」 「タイミング悪かったな。いや、お前の看病してやれるんだから、これ以上のラッ キーはねえのか」 日向さんはそう言うと、コンビニの袋からポカリのペットボトルを取り出した。 「飲むか?」 「…あ、うん」 手を出そうとしたが、彼はニヤリと笑って首を振る。 「こういう時は、まずは『お約束』だろ」 「…お約束?──ちょっ……ん…」 日向さんは自分でポカリを一口含むと、口移しで俺に飲ませた。 カラカラに乾いた喉を湿らせるように、ゆっくりと冷たい液体が流れ込んでくる。 日向さんがここにいるという現実を、今一つちゃんと受け止めていなかったのだけ ど、これは確かに良く知った唇の感触だ。 3回ほどそれを繰り返して、ようやく人心地着いた気分になると、少しだけ頭もすっ きりしてきた。 「日向さん」 「ああ」 「ホントは夕べ来ようと思ってたんだよね」 日向さんはちょっと困ったような顔をした。 「昨日の試合のこと、気を遣ってくれたんだ」 「んーまあ、惜しい試合だったしな」 彼なりの不器用な優しさが、じんわりと胸に染みてくる。 もしも俺が女だったら、あんたの胸で泣きたいと思うこともあるだろう。 でも俺は男で、あんたも男で、だからこそ落ち込んでいる姿を見られたくない時もあ る。 あんたはそれを、ちゃんと判ってくれているんだよね。 「でも、昨日来てたら、こんなに悪くなる前に看病してやれたのにな」 「…ううん。ありがとう」 あんたの顔を見られただけで、俺は充分なんだよ。 4. 病人なのに 「今、一番何処が苦しい? 正直に言え」 「ええと…ちょっと胃が痛い、かな」 「お前、食べないで薬飲んだんだろ」 「…食欲なくて…」 「駄目じゃねえか」 日向さんの手のひらが、パジャマの上から腹の辺りをさする。 まるで小さな子供にするみたいに、柔らかく円を描くように―― 触れた部分から彼のエネルギーが流れ込んできて、風邪の病原菌を退治してくれる、 そんな錯覚に一瞬陥った。 「…日向さん…」 「ああ」 「…ん…そこ…気持ちいい…」 日向さんはいきなり弾かれたように、手を離した。 「…?…」 気のせいか、そむけた横顔が赤くなっている。 「んな色っぽい声出すな。病人なのに妙な気分になっちまうだろ」 怒ったようにそう言うと、日向さんは一旦立ち上がった。 「ちゃんと寝てろよ」 濡れタオルを絞ってきてくれた後、台所の方で鍋をガチャガチャやっている音がす る。 目を閉じていても感じる、日向さんの気配── 俺達は12から18まで同じ寮で暮らし、そのうち中3の時と高校3年間は、一緒の 部屋になった。 俺の家は昔から人の出入りが多い上、離れにも大勢住み込みの弟子がいたから、他人 との共同生活というものに元々抵抗はなかった。 まして、気心の知れた日向さんと相部屋なら何の問題もない──筈だったのだが、最 後の1年くらいは2人きりでいることが、若干気詰まりに思えたことも否めない。 年々寡黙になっていく彼の、呼吸とか気配とか、厚みを増した筋肉の動きとかが、空 手で鍛えた俺の五感を刺激して、否応なく意識せざるをえなくなっていたのだ。 あの頃はなんて言うか、一種の緊張感みたいなものを感じていたのだけど、今は同じ 男の側にいながら身も心もすっかり安心しきっている。 人間、変われば変わるものだ。 「………」 さっき自分が口にした言葉を思い返してみて、恥ずかしくて堪らなくなった。 ああもう。余計に熱が上がりそうだよ。 5. フワフワしてる 「お粥、作ったから喰え」 「…え…でも…」 「喰わねえなら、どんなことをしても──」 「…頂きます」 俺は昔から日向さんの「どんなことをしても」に弱かった。 一見、強引で横暴に思えるけど、本当はいつだって俺の為の言葉なのだと本能的に理 解しているからだろうか。 「起きられるか?」 「…何だかフワフワしてる…」 体を起こすと乗り物酔いみたいに視界が揺れたが、背中にクッションを宛がって貰っ て、少しは楽になった。 目の前にスプーンが差し出される。 「………」 「ほら、あーん」 「…自分で食べるよ」 「これもお約束だろ」 日向さんは、お粥をすくってふうふうと冷ましては、俺の口に運ぶ。 単調な繰り返しなのに、何だかひどく楽しそうだ。 結局は小鉢に半分くらいしか食べられなかったけれど、日向さんもそれ以上は強要し なかった。 「…日向さん」 「ああ」 「美味しかった。残しちゃってごめん──」 そこまで言った途端、急に咳が出て止まらなくなった。 慌てて手近にあったポカリを飲んだら余計にむせてしまい、口の端からちょっとこぼ れる。 「大丈夫か?」 「…へ、いき…ゴホッ…」 日向さんはティッシュで濡れた俺の口元を拭おうとしたけど、ふいにピタリと手を止 めた。 涙目で見上げた日向さんの顔は、何て言うか──苦悶に引き攣っていて── 「…どうしたの?…ゴホゴホッ」 「──ダメだ。お前、マジでエロ過ぎ」 「ゴホッ…え…?」 6.下がらないネツ 「若島津…!」 「うわっ!?」 いきなり腕をつかまれた拍子に、ペットボトルのポカリがこぼれ、パジャマの胸元を 濡らした。 「わ、悪ィ…」 「…日向さん、大丈夫…?」 何だかさっきからどうも様子がヘンだ。 声が上擦っているし、目も血走っている。 「ええっと…パ、パジャマ洗濯しなきゃな」 「このままじゃベタベタになっちゃうから、シャワー浴びようか」 「何言ってんだ、お前! ダメに決まってんじゃねえか」 「…でも…」 「お、俺が拭いてやるから! 汗もかいてるし、その方がいいだろ」 なし崩しに上半身のパジャマを脱がされて、体を拭いて貰う羽目になってしまった。 ぬるま湯で絞ったタオルが、汗ばんだ首筋や背中を丁寧にぬぐっていく。 昼日中から無防備な体を晒すのは少し抵抗があったが、せっかく日向さんが看病して くれているのに、恥ずかしがっちゃ悪いと思って黙ってされるままになっていた。 「寒くないか?」 「ううん。大丈夫──っ…!」 彼の手が脇腹の敏感な場所をかすめた途端、ピクリと体が跳ねた。 幸い日向さんは気付かなかったみたいで、そのまま作業は続けられたけど、だんだん とおかしな気分になってきた。 体は熱くなる一方で、しかも下がらないネツがどんどん下半身に溜まってくる。 胸元に触れられた時にとうとう我慢出来なくなって、俺は思わず声を上げてしまっ た。 「ひ、日向さん!」 「何だ」 「もう、いいよ…っ」 「………」 いつの間にか荒くなっていた呼吸を悟られてしまっただろうか。 日向さんは手を止めて、俺をじっと見下ろした。 潤んだ視界の中で、その目が金色に光っているのをぼんやりと感じる。 「…どうした?」 「…体が…──…熱くて…」 7. うつしてもいいよ?(→いいぞ?) 日向さんは俺のことを心配して、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれているというのに、 その一挙一動に動揺している自分が恥ずかしかった。 ちょっと彼に触れられただけで過敏になってしまう、自分の体が恨めしい。 これじゃ欲求不満もいいところだ。 「…ごめんなさい…」 淫乱、なんて思われたらどうしよう。 いつも『あんたの頭にはそれしかないのか』とか言ってエラそうに説教している手 前、火照った顔を見られたくなくて、思わず両腕で覆った。 「お願いだから見ないで…」 「お前…」 日向さんは、妙に喉に絡んだ声で呟いた。 「マジで天然…」 「…え…?」 「『見るな』って言われて、『はいそうですか』と引き下がる男がいると思うの か?」 腕をどけられたと思った途端、日向さんの唇が近付いてきて、俺は慌てて顔を背け た。 「うつるから…!」 「うつしてもいいぞ?」 「でも…──ん…」 熱のせいだろうか。 日向さんのキスはいつも以上にくらくらして、体にますます力が入らなくなる。 「拷問に掛けられる奴の気持ちが、ちょっとだけ判った」 「…拷問って…」 「忍耐力測定検査かと思ったぜ」 厚みのある体が乗り上げてきて、俺の背中に腕が回る。 「汗、一杯かいたら熱が下がるって言うしな」 「…あ、それ逆。熱が下がる時に汗が出るんだよ」 「? 同じことじゃねえか」 めちゃめちゃな理屈で抱き締められて、でも奇妙な安心感があった。 良かった。欲しがってたのは俺だけじゃなかったんだ── 「後で文句言うなよ? もう聞かねえぞ?」 「…日向さんこそ…」 イタリア、帰れなくなっても知らないよ? ![]() 8. 心配性 「心配性だな。大体、もしうつったとしても、俺が風邪くらいで寝込むと思うの か?」 「…寝込む人じゃないからこそ、心配なんでしょ」 昔、俺を看病してくれた時だってそうだった。 次の日の練習後に倒れるまで、日向さんが熱を出してることに、誰も気が付かなかっ たのだから。 風邪をうつしてしまったと知った時の切なさと言ったら、とても口では言い表せな い。 「いや。多分あれは知恵熱だな」 「…知恵熱…?」 「あん時のお前、熱でハアハア言うわ、苦しそうな声出すわで、それこそ拷問だった んだぜ。一晩中側に付いてた、こっちの身が保たねえって」 「…今より自制心があったんだね」 「何回、壁に頭ぶつけようと思ったか──…って、今日はお前にも責任あるんだから な」 日向さんの手が、汗に濡れた俺の髪をかき上げる。 敏感になっている体には、それだけでキツイほどの刺激だ。 「熱出してる時ヤるとイイ、とも聞くけど、どうだ?」 「…体に力が入らなくて、ヘンな感じ…」 「シメがキツくない分、俺は長く保ちそうだな。でも…──お前ん中、マジで熱い」 こういう時の日向さんの低めた声は、本当に凶器だ。 頭が朦朧としているせいか、脊髄にダイレクトに響く。 「俺も熱くて…も、何とか……」 「──してやるよ、どうにでも」 「…大丈夫か?」 「………」 という訳で本日何回目かの質問だったが、答える気力は既に俺にはなかった。 それどころか、指1本動かせそうにない。 「無理させ過ぎた。ごめんな」 日向さんは済まなさそうに謝りながら、2時間前に拭いた体を、もう一度拭いてくれ ている。 俺の方こそ、煽ったりしてごめんね、日向さん… 「でも、朝より熱が下がったような気がするぜ?」 「…そう…?」 「やっぱ汗をかくのって効くんだな。それともナニか、さっきの俺の注射が──」 だるい筈の右腕が条件反射的に動いて、至近距離の左頬を直撃した。 9. 38.5度 「はい…───ええ、38.5度くらい…──え? まさかそんな…ははは…──判りま した。また明日連絡します──じゃ」 夢うつつに、日向さんの声が遠く聞こえる。 誰と話してるんだろう…とぼんやり思いながら目を開けると、ちょうど携帯を畳んだ 日向さんと目が合った。 「──目ェ覚めたか?」 「…電話…?」 「京子さんに、今日は帰れねえって。お前が高熱出して唸ってるって、ちょっと大袈 裟に言っといたから」 時計を見ると、もう夕方の時刻だった。 …多分、彼女には『悪化させるようなことは、してないでしょうね?』くらいのこと は、言われたに違いない。 「ホントは、さっき計ったら37度ちょっとだった。でも、また上がるかも知れねえ し、気を付けろよ」 「…日向さんは平気…?」 「おう。勝手にシャワー使ったぞ。あとTシャツも借りた」 シャワーを浴びた後の日向さんは、前髪が全部下りていて凄く色っぽく見える。 この家でごく自然にくつろいでいる彼を見るのも久しぶりだから、何だか照れ臭い。 「アスリートとしては、本当は風邪で寝込むなんて失格なんだけど──」 「…うん?」 「熱のお陰で、こうしてあんたに看病して貰えたんだから、怪我の功名だね」 「やけに素直じゃねえか」 日向さんも照れたように笑うと、立ち上がった。 「プリンでも食うか? さっきコンビニで買ってきた」 「…日向さん」 「ああ」 「──今夜は、このまま一緒にいてくれる…?」 「当たり前だろ。その為に来たんだぜ」 いつもだったら言えないようなことを素直に口に出来るのも、病気のせいにしてしま えるのだとしたら── たまには、風邪で寝込むのも悪くない。 10.朝目が覚めたら 翌日、朝目が覚めたら日向さんは俺の隣でまだ眠っていた。 風邪がうつっていないか心配でそっと額に触れてみたけど、少し汗ばんではいるもの の、いつも通りの平熱でホッとする。 俺はまた夜中に少し熱が出たらしく、日向さんがタオルで冷やしてくれたり、汗を拭 いてくれたりするのをおぼろげに感じていた。 そのおかげで今は殆ど熱も引いたようで、だるさも抜けている。 一晩中付いていてくれて、本当にありがとう。 俺は出来るだけ静かに起き上がると、ベッドサイドに置いてあった日向さんの携帯を 拝借して、音を立てないよう部屋から滑り出た。 そのまま、一番新しい履歴をリダイヤルする。 『──もしもし、日向君?』 「おはようございます。小泉さん」 『あら、若島津君。熱は大丈夫なの?』 「お陰様で、かなり良くなりました。でも、日向さんが大変で──」 『やだ、どうしたの日向君?』 「俺の風邪がうつっちゃったみたいで、ひどい熱なんです」 『だから言わんこっちゃないって感じよ。今日の最終で関空から帰る予定だったの に』 「本当にすみません。明日には良くなると思うので、今日一日このまま俺が預からせ て頂く訳にはいかないでしょうか…?」 『…ふーん…』 電話の向こうで、しばらく沈黙があった。 「あの…」 『まあ、貴方がそう言うんだから、仕方がないわね』 小泉さんは溜め息を吐きながらも、釘だけはしっかり刺してきた。 『セントレアでいいから、明日朝一のルフトハンザに乗せてね。絶対よ』 「判りました」 『お大事に。日向君よりむしろ貴方。病み上がりなんだから、無茶しないこと』 「…はい…」 多分、俺の小細工なんて彼女はお見通しだと思うけど、とりあえず日向さんの身柄は 確保出来た。 仕事だの俺の看病だので疲れているのだから、せめて今日だけはゆっくり休ませて上 げたかったのだ。 それから…ここだけの話だけど、ほんのちょっぴりの独占欲。 今日一日、日向さんは俺の物になった。 「…今日はズル休みだね」 ぐっすりと眠っている日向さんの隣に、再び潜り込む。 ズル休みなんて学生時代にも縁のないことだったけど、2人で見る夢は、昨日より もっといい夢に違いない。 幸せな気持ちで眼を閉じながら、俺はそっと彼の指に自分の指を絡ませた。 (おわり) |
お題配布「Heaven's」様
もんぷちさまとメールで風邪の話になり、『若島津が風邪ひいて小次郎に甘えたら…』とおねだりしたら、 本当に甘々な風邪っぴき小説を書いていただけましたーー♪ 風邪ひきのお約束シチュで盛り上がってたんですが、最後にもんぷちさんが「俺の注射で…」と返してくださったのには正直、本当にあの上品なもんぷちさん!?と驚きました。素晴らしい下品さだよ、もんぷちくんvvパチパチパチヾ(*´∀`*)ノ☆ お約束通り、お熱測りから始まってお注射で〆てくださり本望です(笑) 小次郎に甘える若島津が見たかったので、最後の最後まで甘えん坊の若をいただけて幸せですvvありがとうございました!! |